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2022.06.26 | 補聴器

補聴器は水分に弱い⁉最新の湿気対策と予防方法を解説

こんにちは。

岐阜県羽島市の認定補聴器技能者の山村です。

じめじめした季節になってきましたね。

10年くらい前はこの時期になると、補聴器の修理が

多くて嫌になっちゃうくらいでしたが、ここ最近は

だいぶ少なくなりました。補聴器は湿気に弱いのですが、

今は補聴器の内部機械に撥水加工がしてあるため

湿気による故障はだいぶ減りました。今回は補聴器を

長く使う為に湿気対策について解説致します。

先に説明しましたが最近の補聴器には全て

「プラズマガス化ポリマーコート」

がされています。このコーティングは3つの効果があります。

1.水を弾く撥水効果

コーティングに使用されるコート剤は、フッ素樹脂と呼ばれる合成樹脂で、

身近なところではフライパンの表面などに使用されています。

このフッ素樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐腐食性に加え、

これまで発見された物質の中で最も摩擦係数が低い、いわば滑りやすい素材です。

そのため、水分は狭い隙間に入りこまず、表面を水滴として転がり落ちるので、

結果として水分が補聴器内部へ侵入するのを防ぐことが可能です。

また、「プラズマガス化ポリマーコート」は髪の毛の1,000分の1という

極めて薄いコーティング被膜を形成することで、耐久性の向上はもちろんのこと、

補聴器が持つ質感や見た目を一切変えることなく撥水効果を持たせることができるのです。

GNリサウンドさんの撥水加工技術が紹介された動画です。

2.高い耐久性

表面からの塗布やスプレーを使った一般的なコーティングは、施工時にムラが発生し、

表面に隙間ができるため、そのコーティングの効果は弱いものとなり、また耐久性も落ちます。

一般的なコーティングの効果が短く、何度も施工しなおさなければならない理由は実はここにあるのです。

一方、「プラズマガス化ポリマーコート」はプラズマ処理によってイオン化させたフッ素樹脂を、

表面で化学結合させます。イオン化され分子レベルまで小さくなったコート剤は

表面に規則正しい炭素結合の被膜を作ることで耐久性を高めます。

3.内部までコーティング

補聴器は、大気中の湿気によっても発生するサビや腐食を防ぐために、

内部の精密部品にもしっかりコーティングする必要があります。「プラズマガス化ポリマーコート」は

真空蒸着による工程を用いるため、隅々にまでコーティングをすることを可能にしています。

この技術によって、大気中の湿気から補聴器内部を守ると同時に、

万が一補聴器に水分が浸入しても、内部の精密部品に、サビや腐食は発生しにくいのです。

コーティングの有無によって上記の写真のように腐食度合が大きく変わります。

夏から秋にかけての修理率がこのコーティングをしたことで80%減少したとのこと。

じゃあ補聴器を着けて、そのままケアしなくても良いかというとそうではありません。

汗をかいた状態で放置しておくとやはり補聴器は痛みます。

なので補聴器をお求め頂いたお客様にはメーカーより乾燥ケースが配布されてます。

このケースの中にシリカゲルが入っており、補聴器の湿気を吸い取ってくれます。

どれくらいの頻度でしたらよいのかと聞かれることも多いのですが、

基本的には夜寝るときに補聴器を外したら、電池を外しケースに入れましょう。

毎日の習慣にしていただければ、それほど面倒でもないかと思います。

ただし注意が必要で、乾燥ケース内のシリカゲル(乾燥剤)が数カ月で

効果が無くなります。

上写真のような乾燥剤なのですが、青い粒が赤色に変化します。

そうすると乾燥剤の効果が無くなるので交換しなければいけません。

時々赤色のままで補聴器のケースとして乾燥ケースを使っている

方もいらっしゃいますが、それはよくありませんので赤くなったら

必ずシリカゲル(乾燥剤)を交換しましょう。

また最近は上写真のような電気で動く乾燥機もありあります。

こちらは9,900円ですが、コンセントにさしてボタンを押すことで

温風がでて、補聴器を乾燥してくれます。またUV照射も同時に

行なうので、補聴器についた耳垢の雑菌を抑えいつでも補聴器を

清潔な状態に保ってくれる優れものです。長く補聴器を使う事を考えると

専用乾燥機の方がおすすめです。


補聴器の大敵である湿気を予防するために、最新の技術が

盛り込まれていますが、それでも使用者のケアが大事です。

是非ご参考にしてくださいませ。