岐阜県羽島市の三愛の山村です。
今回は補聴器の限界について書いていきたいと思います。
年齢を重ね大きな声でないと聞こえない。
テレビの音を大きくすると家人に注意される…
呼ばれたから振り向いたら怖い顔で「何度も読んだのに」と怒られる。
意を決して補聴器を着けて昔のように「よく聞こえる耳」を取り戻そうとします。
補聴器を買って実際に使用してみると、期待した程会話が理解できずうるさいばかりで使えない。
せっかく買った、あるいは贈ってもらった補聴器はお蔵入りでタンスの肥やしとなってしまう。
以上がよくある補聴器の運命ではないでしょうか。どうしてこのような結末になるのか?
それは以下の理由によるのです。聴覚の神経は年とともに感度が落ちます。いつまでも若いころのようにはいきません。
聴覚神経を指に例えると、指が段々短くなるようなものです。補聴器はこの短くなった指に人工で指をつぎ足して昔の長さに戻す
といった事に似ています。補聴器は若い頃の音の感度に上げる役目をする訳です。
しかし実は年をとると音を感じる神経が鈍くなる…先の例で言うと指が短くなるだけではないのです。
実のところ加齢によって神経の数(指の数)そのものも減少してきます。
神経の数が減ると(指が5本→1本になると)音は感じるが音の形が判らなくなります・・・
5本の指でつかめば物の形が丸いか四角か判りますが、1本では物の存在は判っても形は判りません。
例えば「寿司」と「煤(スス)」、「柿(かき)」と「茎(くき)」、「尻(しり)」と「すり」の区別がつきません。
補聴器は「音を大きくし、聞きやすくする能力」はありますが、減った神経を増やしてはくれません。
ようするに「音の区別能力」を補ってるわけではありません。これが補聴器の限界です。
では補聴器とどう付き合えばよいのか。具体的には以下の二つです。
①我慢して使い続け、早く慣れること。
初めての補聴器では周囲の音が気になってしまいなかなか言葉を理解するのが難しかったりします。
相手の表情、口もと、目をよく見て言葉を理解する努力が必要です。
早い方でも3カ月程、遅い方だと使いこなすには半年から一年はかかります。
朝起きたら補聴器を着け、夜寝る前に外す。誰とも会わない、一人で家でTVを見るときでも、
補聴器を装用し、補聴器からの音に慣れましょう。
②「老人の頑固」を捨て補聴器をすすめてくれる人の言葉に耳を傾けることです。
「私は現在のままで何の不便も感じません」など言い張らないこと。
本人は困っていないけど家族を含む周囲の人が不便であったり迷惑だったりします。
声をかけても振り向かない、何度も同じことを話さなければいけない、聞き間違いが多すぎて訂正するのも疲れるなど
「つながらない会話」がいつの間にか孤独の場に置き去りにしてしまいます。。
補聴器はその効用と限界を知って使えば大いに役立つ道具です。
現実に多くの方々が利用しています。うまく使いこなしてより幅の広い、楽しい日常を送りましょう。
それではまた次回。