こんにちは。
岐阜県羽島市の認定補聴器技能者の山村です。
補聴器の購入を考える際、価格帯の幅広さに驚くかもしれません。
中には片耳で100万円近い高額な補聴器も存在しますが、
はたして高価な補聴器がすべての人に必要なのでしょうか?。
補聴器の価格を左右する主な機能
補聴器の価格が高くなる主な要因は以下の3つです。

1.電池式か充電式か
電池式
空気亜鉛電池を使用し、通常7-10日で交換が必要です。
電池交換の手間やコストはかかりますが、
予備電池を持ち歩けば外出先での電池切れにも対応できます。
充電式
本体にバッテリーが内蔵されており、
充電器にセットするだけで充電できます。
電池交換の手間はありませんが、
価格は電池式より4万~8万円ほど高くなる傾向があります。
また、数年使用すると電池の持ちが悪くなる可能性があり、
充電器を持ち運ぶ必要がある点もデメリットです。
汗をかく仕事やスポーツをする方には、
電池収納部の隙間がない充電式が有利な場合があります。
ただし最近はバッテリー機能を兼ね備えたものも出ています。

2.チャンネルの数
補聴器は、音の高さをいくつかのグループ(チャンネル)に分け、
それぞれに増幅量を調整します。チャンネル数が多いほど細かく調整できますが、
価格も高くなります。しかし、一般的な聴力検査で測定される周波数(7~11チャンネル程度)
に対応できれば十分とされており、それ以上のチャンネル数はほとんど必要ない場合が多いです。
バイオリン奏者など、非常に細かい音程を聞き分ける必要がある場合は
多チャンネルの恩恵を受けられることがあります。

3.ノイズキャンセリング機能の強度
周囲の騒音を軽減する機能で、
この機能が強力なほど価格が高くなります。ただし、ノイズキャンセリング機能は万能ではありません。
騒音だけでなく、会話など必要な音まで小さくしてしまうことがあります。
人間には元々、カクテルパーティー効果のように騒音下で特定の音を選択して聞く能力があり、
この「脳の働きを鍛える」方が重要だとされています。
試聴と相談
補聴器販売店や病院で聴覚専門家(聴覚専門の言語聴覚士など)に相談することが重要です。
補聴器は高価な家電製品のように機能が多ければ良いというものではありません。
最も大切なのは、ご自身の耳と脳がその音に「慣れる」こと、そして「正しく使う」ことです。

補聴器を使いこなすには?慣れるための正しい方法と家族の協力
補聴器は、装用したからといってすぐに若い頃のように聞こえるようになる魔法の道具ではありません。
特に加齢性難聴の場合、脳がゆっくりと進行する難聴に慣れてしまっているため、
補聴器からの新しい音に順応するには時間と努力が必要です。

まとめ
補聴器の価格は機能やタイプによって大きく異なりますが、
高価な機種が必ずしもすべての人にとって最適とは限りません。
充電式か電池式か、チャンネル数、ノイズキャンセリング機能など、
それぞれの機能の違いを理解したうえで、自分のライフスタイルや聴力に合った補聴器を選ぶことが大切です。
また、補聴器は「買って終わり」ではなく、使いこなすまでに時間がかかるものです。
専門家のアドバイスを受けながら、脳と耳を少しずつ慣らし、
家族の理解と協力のもとでじっくりと付き合っていきましょう。