三愛では、メガネ、補聴器、時計、宝飾を扱っております。 眼鏡作製技能士および認定補聴器技能者がお客様の快適生活をサポートします。

Blog

2025.12.14 | 補聴器

補聴器の形選びで知っておきたいこと!耳掛け型と耳穴型で「扱いやすさ」はどう変わる?

こんにちは

岐阜県羽島市の三愛の山村です。

今回は、多くの方が補聴器を選ぶ際に検討される

補聴器の形によって何が変わるのか

というテーマについて、その全体像をお話しします。

補聴器を選ぶ要素には「補聴器の形(形状)の部分」と「補聴器の性能の部分」がありますが、

今回は特に形状に焦点を当てて解説いたします。

補聴器の形が変えるのは「扱いやすさ・使いやすさ」

まず結論からお伝えすると、補聴器の形によって最も大きく変わるのは「扱いやすさ、使いやすさ」です。

補聴器を選ぶにあたって大事なのは、ご自身にとって

どういったものであれば扱いやすいのか、使いやすいのか」を考えていただくことです。

補聴器の形状の全体像:種類と聴力適応範囲

現在の補聴器の形は、大きく分けて以下の2種類があります。

1. 耳穴型補聴器:耳の穴の中に入れて使うタイプ

2. 耳掛け型補聴器:耳にかけて使うタイプ

これらのタイプの中に、さらにいくつかの種類が存在しています。

形状選択の自由度が向上しています

昔は、補聴器の形状は聴力レベルによって決める必要がありました。

小さい補聴器では十分な音量が出せないという制約があったからです。

しかし、現在では技術が向上し、聴力の適用範囲が徐々に拡大しています。

小さい補聴器であっても、音を補える量が増えてきています。

難聴のレベルとして多くを占める軽度から中等度の難聴の方々に関しては、

おおよそどの形状を使っていただいても問題ないようになっています。

ただし、一部の聴力低下が大きい方(高度難聴や重度難聴)については、

適用できる聴力の範囲によって、注意が必要な場合があります。

大半の方(軽度から中等度難聴の方々)はどの形状を使っていただいても大丈夫なようになっています。

多くの方にとって形状選択の自由度が高まった今、重要になるのは「扱いやすさ」です。

形状ごとの違い:使いやすさに影響する4つのポイント

耳掛け型補聴器と耳穴型補聴器では、主に以下の点で使いやすさが変わってきます。

1. 聞こえの基本的な効果

2. 邪魔になるか、ならないか

3. 補聴器の装用感覚・閉塞感

4. 電話のしやすさ

1. 聞こえの基本的な効果はほぼ同じ

耳掛け型補聴器も耳穴型補聴器も、基本的な聞こえの改善効果に大きな違いはありません

聞こえの改善は、どちらかというと補聴器の「性能」の部分や、

低下した聴力に対してどれだけ音を補えるかという部分に大きく依存する傾向があります。

2. 邪魔になるか、ならないか(眼鏡やマスクとの干渉)

日常生活の中で、他の装用物と補聴器が重なるかどうかが、使いやすさを大きく左右します。

形状

邪魔になりやすさ

影響があるもの

耳掛け型補聴器

邪魔になりやすい

メガネ、マスク、帽子、ヘルメット

耳穴型補聴器

邪魔になりづらい   

影響を受けにくい

耳掛け型補聴器は、耳にかけて使うため、メガネやマスク、ヘルメットなど、

耳に重なるものがある場合に邪魔になりやすい傾向があります。

一方、耳穴型補聴器は耳の穴の中に入れて使うため、耳に重なるものがなく、

邪魔になりづらいという利点があります。

邪魔にならないことを優先したい場合は、耳穴型補聴器の方が基本的にオススメです。

3. 装用感覚・閉塞感(自分の声の響き)

補聴器を耳につけるということは、耳の穴に異物を入れることになるため、

耳が塞がったような感覚(イヤホンをぎゅっと入れたり、耳に水が入ったりした状態に近い不快感)が生じます。

この感覚を「装用感覚」や「閉塞感」と呼びます。

形状

装用感覚・閉塞感

特徴

耳掛け型補聴器

軽減されやすい

塞いでいる量が少ないため、不快感が少ない傾向がある。

耳穴型補聴器

感じやすい

耳の形に合わせて作成するため、自分の声が大きく聞こえたり、低く響いたりする感覚が強めに出やすい。

耳掛け型補聴器は、耳栓部分だけで耳を塞ぐ量が少ないため、

この不快感(自分の声が大きく、あるいは低く響く感覚)が少ない傾向があります。

耳穴型補聴器は、個人の耳型に合わせて作製されるため、この不快な感覚がかなり強めに出やすいです。

この感覚は補聴器の調整で多少減らすことは可能ですが、かなり強めに感じる方が多いです。

この装用感・閉塞感は、慣れるかどうか正直「人による」部分が非常に大きいですが、

自分の声が大きく聞こえるといった音の感覚自体は、慣れても基本的には変わりません

もし、この「自分の声が響く感覚」が気になる場合は、耳掛け型補聴器の方が使いやすくなります。

4. 電話のしやすさ

電話の改善を優先したり、仕事などで電話の頻度が多い場合も形状が影響します。

耳掛け型補聴器:音を拾うマイクが耳の上部にあるため、電話をする際に受話器を耳の穴の位置ではなく、

少し上部にずらして当てる必要があり、わずらわしさを感じることがあります。

耳穴型補聴器:補聴器が耳の穴の中にあるため、受話器を耳の穴の位置にそのまま持ってきて電話をすることが可能です。

電話の回数が多い方や、電話のしやすさを優先する方にとっては、耳穴型補聴器の方が使いやすくなる場合があります。

【形状別】こんな方にオススメ!

耳掛け型と耳穴型の違いは一長一短です。ご自身のライフスタイルや優先したい点に合わせて選ぶことが大切です。

耳掛け型補聴器がオススメな方

初めて補聴器を使う方:初めて装用する際に特に気になる「自分の声が大きく聞こえる、違って聞こえる」

といった不快感が、耳穴型よりも軽減されやすいため、導入としてオススメです。

耳穴型で感じる閉塞感や響きが元々気になる方

耳穴型補聴器がオススメな方

邪魔にならないことを優先したい方:眼鏡やマスク、ヘルメット、帽子などを頻繁に使用する方。

スポーツをされる方:耳穴型は耳の中にがっちり固定されるため、

体を大きく動かしても安定して使うことができます(耳掛け型は動きやすい傾向があります)。

電話の頻度が多く、電話のしやすさを優先したい方

最後に

補聴器の形状選びで最も重要なのは、「どの形状であれば、自分自身が一番使いやすいか」を考えていただくことです。

今回お伝えした情報はあくまで「情報」としての内容ですが、実際に補聴器を選ぶ際は、

実際に触っていただいたり、使っていただいたりしながら、「これなら使いやすそうだ」「これはちょっと厳しそうだ」といった、

ご自身の感覚を知っていただくことが非常に大切になります。