こんにちは。
岐阜県羽島市の認定補聴器技能者の山村です。
今回は充電型補聴器の概要と、
今までより改善された三つのポイントについてお話ししていきたいと思います。
充電型補聴器が今後主流になっていきますが、改めてその詳細を解説します。
今回の重要なポイントは、充電型補聴器が、
従来空気電池を使用していたタイプが抱えていた問題点を解消できるようになった点です。

充電型補聴器とは
まず、充電型補聴器とはどのようなものかご紹介します。
充電型補聴器には、補聴器本体と、充電するためのケースが必ず付属します。
従来の空気電池を使うケースに比べると、充電が必要な分、少し大掛かりになりやすいですが、
最近のものは大きくなく、持ち運びも簡単です。
例えば、フォナックのパラダイスという機種など、
最近の充電型補聴器はかなり小さくなってきています。
操作方法についてですが、空気電池型は電池のフタを閉めると電源がオンになりますが、
充電型にはフタがありません。代わりにスイッチがあり、これを押していただくことで電源のオンオフができます。
また、音量調整もこのスイッチで行えるものが多いです。
さらに、充電型補聴器は、ケースから取り出すと自動的に電源が入る仕組みになっているものもあります。
ただし、聴力が下がっている方で、補聴器から出る音が強いレベルにある場合、
耳から外した際に補聴器から音が出てしまう(ハウリングなど)ことがあります。
そのような場合は、ケースに入れる際に電源を切ってからしまう方が使いやすくなります。

充電と使用時間
充電型補聴器は、しっかりとケースにしまっていただくことで充電されます。
充電時間は最大で3時間となっており、この充電で約18時間使用可能です。
また、急いでいる場合でも、30分の充電で約4分の1、1時間の充電で半分程度使えると言われています。
理想的な使い方としては、補聴器を使い終わったら毎日充電器に入れて充電する習慣をつけていただくことです。

充電型補聴器で良くなった三つのポイント
充電型補聴器で改善された点は、大きく分けて以下の三つです。
一. 動作が安定しやすくなった
二. 補聴器が壊れにくくなった
三. 補聴器が扱いやすくなった
これらの改善は、空気電池に由来する問題点を解消できるようになったことに起因します。
空気電池は、正確には「酸素」を取り込んで発電するタイプのボタン電池です。
発電のためには空気を(酸素を)取り込む必要があり、
そのため従来の補聴器には必ず「空気穴」が設けられていました。この穴がないと発電できないためです。
この空気穴こそが、動作不良や故障の原因になっていました。

動作の安定性向上と故障の減少
空気穴があることで、ホコリが詰まったり、水や湿気が穴を覆ってしまったりすると、
空気(酸素)が通らなくなり、一時的に補聴器の音が止まってしまうといった動作不良が起こることがありました。
補聴器本体が壊れていなくても、こうした動作不良は発生したのです。
一方、充電型補聴器は空気穴を設ける必要がないため、動作が安定しやすくなりました。
また、空気穴が必要な空気電池型は、補聴器を完全に密閉することができませんでした。
充電型補聴器は密閉性を高めることができる構造になったため、耐久性が上がり、
故障が少なくなる傾向にあります。(ただし、音が出る部分や音を拾う部分については、
むき出しにしておく必要があるため、そこでの故障は依然として発生する可能性があります。)

扱いやすさのメリットと注意点
三つ目の「扱いやすさ」については、電源を入れる作業工程が不要になったり、
操作が少なくなったことで、使いやすさが向上したと言えます。
しかし、注意点があります。充電型補聴器の連続使用時間は現在、およそ18時間程度とされています。
1日に14時間や16時間など、非常に長く補聴器を使う方にとっては、途中で一度充電が必要になる可能性があります。
さらに、スマートフォンと同じく、充電を繰り返すと連続使用時間は徐々に減ってきます。
例えば2年程度使った場合、最大18時間まで持たなくなる可能性が高いため、
長時間使用する方は途中で充電を挟む必要が出てくるかもしれません。
この使用時間による使いやすさの変化が、充電型補聴器を選ぶ上での一つの注意点となります。

まとめ
今回は充電型補聴器について改めて解説しました。
充電型補聴器は、従来の空気電池型が抱えていた動作の不安定さや故障しやすさを克服し、
今後主流となる可能性を秘めています。実際に試していただき、ご自身の使い方や操作において問題がなければ、
充電型を選んでいただく方が良いのではないかと個人的には感じています。
もし、使用時間の長さなどで使いづらいと感じる点があれば、
従来のボタン電池型も選択肢に入れてご検討いただければと思います。
