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2025.10.14 | 補聴器

補聴器は万能ではありません。補聴器が苦手な事をまとめてみました。

こんにちは。

岐阜県羽島市の三愛の山村です。

聞こえに悩みを抱える方にとって、補聴器は希望の光のように感じられるかもしれません。

テレビCMや広告で「まるで自分の耳のように聞こえる」「言葉がはっきりクリアに聞こえる」

といった表現を目にし、「補聴器さえあれば、聞こえの問題はすべて解決する」と思っている方も少なくないでしょう。

しかし、結論からお伝えすると、補聴器は万能ではありません

補聴器には、その役割や機能において苦手なことや限界があります。

今回は、補聴器が苦手とすることに焦点を当て、その具体的な内容と、

私たちがどのように補聴器と向き合うべきかについてお話ししたいと思います。

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補聴器が苦手なこと(補聴器の限界と課題)

補聴器を検討されている方や、既に使い始めているけれど「思ったほどではない」

と感じている方は、ぜひ以下の点をご確認ください。

聞こえを「元通り」にすることはできない

補聴器は、耳の聞こえを若い頃の状態に「若返らせる」ことはできません

その主な役割は、外部から入力された音を「大きくして出力する」ことにあります

つまり、失われた聴力を完全に回復させたり、耳の機能を根本的に治療したりするものではありません

眼鏡のようにかけた瞬間に「はっきりくっきり見える」ようになるわけではないのです

「言葉の聞き取り」や「騒がしい場所での聞き取り」の難しさ

補聴器は「音」を大きくしますが、皆さんが本当に求めているのは「言葉」をはっきりと聞き取ることではないでしょうか

しかし、補聴器は単に音を増幅するだけで、言葉だけを抽出してはっきりとさせる機能は持っていません

周囲の雑音(例えば、エアコンの音や人々のざわめきなど)も一緒に大きくしてしまうため、

特に騒がしい場所での会話は、補聴器をつけても聞き取りが難しいと感じることがあります

音の分析や言葉の聞き分け、雑音の中から特定の音を選び取る(カクテルパーティー効果のような)働きは、

補聴器ではなく「脳」が行っています

使いこなすには「時間」と「慣れ」が必要

補聴器は購入してすぐに「最高の聞こえ」が得られるものではありません。

聞こえが悪くなった期間が長ければ長いほど、脳がその聞こえにくい状態に慣れてしまっているため、

補聴器の音に慣れるまでに時間がかかります。一般的には、3ヶ月から6ヶ月程度の馴化期間が必要とされており

焦らず、根気強く使い続けることが大切です

「高額な補聴器」の必要性

「高価な補聴器ほどよく聞こえる」と思われがちですが、必ずしもそうとは限りません

10万円以上の補聴器には多くの機能(充電式、多チャンネル、雑音抑制など)が搭載されていますが、

ご自身の聴力レベルや生活環境に合った補聴器を選ぶことが最も重要であり、

高価な補聴器を購入することが必ずしも良い聞こえにつながるわけではないことを理解しておくべきです

「日々の手入れや管理」の手間

補聴器は非常に精密な機械であり、携帯電話と同じように丁寧な扱いと適切なメンテナンスが不可欠です

ホコリや耳垢、湿気などによって故障しやすい部分(マイクロホン、レシーバー、信号ケーブル、アンプなど)があるため

定期的な掃除や乾燥剤の使用が推奨されます。また、電池式の場合は約10~14日ごとに電池交換が必要となり、

この手間を煩わしく感じる方もいます

「周囲の理解と協力」の必要性

補聴器の装用は、本人の努力だけではうまくいかないことがあります

特に、難聴を自覚していなかったり、困っていないと感じている方の場合、補聴器を嫌がってしまうことがあります

家族など周囲の人は、本人の聞こえの状態や補聴器の限界を正しく理解し、

「つけなさい」と強制するのではなく、励まし、応援し、協力する姿勢が非常に重要です

また、話す側も、難聴のある方が聞き取りやすい話し方(普通の声の大きさでゆっくりはっきり話し、口元を見せるなど)

を心がける必要があります

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補聴器を上手に使うために

補聴器が苦手とすることを知ることは、決して悲観することではありません。

むしろ、それらの特性を理解することで、より効果的に補聴器を活用し、聞こえの質を高めるための第一歩となります。

補聴器を成功させるための重要なポイントは以下の3つです。

1. 「正しく耳の状態を理解する」

補聴器を購入する前に、聴覚を専門とする耳鼻咽喉科で精密な検査を受けることが最も推奨されます

これにより、難聴の種類や程度、補聴器の必要性、そして聞こえの改善の限界を正確に把握できます

2. 「補聴器の機能を理解し、適切なものを選ぶ」

補聴器は「音を大きくする」ためのものであり、万能ではないことを理解しましょう

また、ご自身の聴力レベルやライフスタイルに合った補聴器を選ぶことが重要です

高価なものが常に最適とは限りません

3. 「継続的な使用と脳のトレーニング」

補聴器の効果を最大限に引き出すためには、

毎日起きている間は補聴器を装用し積極的に会話をするなどして脳を鍛えることが不可欠です

馴化には時間がかかりますが、諦めずに続けることが成功の鍵です

補聴器は、あなたの聞こえの生活をサポートする強力なツールになり得ます。

ただし、その力を最大限に引き出すためには、補聴器の「苦手なこと」を理解し、

正しい知識を持って向き合うことが何よりも大切です。

ぜひ、専門家と相談しながら、ご自身に最適な聞こえの環境を築いていってください。